1.詐欺事件での懲戒免職
詐欺事件に対する処分は会社ごとに温度差があります。ただ、お勤め先の会社が被害者である場合には、即座に懲戒免職に付されることも多々あります。一方、お勤め先以外の会社が被害者の場合、即座に懲戒免職に付する会社もあれば、むしろ今後の更生支援を積極的に申し出てくれる会社もあります。
対して、公務員ついては特に厳しい傾向にあります。
公務員については、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」について絶対的欠格事由が定められており、懲役刑や禁錮刑になってしまうと、たとえ執行猶予がついたとしても欠格事由に該当し失職してしまいます。有罪・前科という言葉には罰金刑も含まれますが、公務員の欠格事由は懲役若しくは禁錮刑以上の刑罰が対象です。
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2.詐欺事件での退学処分
「中学校」の場合、義務教育であること等から退学処分にまで至ることは稀といえます。公立校の場合は、基本的に学校も積極的に更生支援に携わります。私立校においては、退学処分にはしないまでも自主退学を勧告することも少なからずあります。
「高校」の場合、中学校に比べると処分が厳しくなる傾向にあります。私立高校の場合はなおさらで、退学処分を言い渡すことも少なくありません。もっとも、学校によってかなり温度差がありますので詐欺事件が発生した後、できる限り早く担当教諭らと面談するなどといった対応が求められます。
「大学・専門学校」の場合、大規模な学校では、マスコミが報道するような事件でない限り、いきなり退学処分にすることは稀です。一方で、小規模な学校(高校と同じように、クラス編成がしっかりされており、いつも同じメンバーで講義を受けるような学校)の場合には、高校同様厳しい処分がなされる傾向にあります。大学・専門学校の場合は、「学生課」が窓口となって、弁護士や親御さんとの協議を行うことになります。
3.職場や学校に詐欺事件のことが知られる経緯
職場や学校に詐欺事件について知られる経緯としては、主に下記のことが考えられます。
1 逮捕されたとき
詐欺事件で逮捕された場合、成人の場合には警察がマスコミに事件のことを報告し新聞報道(近時はネットニュース)等で事件が世間に知れ渡り結果、職場に発覚することが考えられます。
一方、少年の場合には、「警察・学校相互連絡制度」により、事件のことが学校に発覚することが考えられます。ここで、「警察・学校相互連絡制度」とは、警察から学校へ「逮捕事実」「ぐ犯事案」「非行少年等及び児童・制度の被害に係る事案で警察署長が学校への連絡の必要性を認めた事案」について連絡をする制度のことを言います。
もっとも、この制度が導入されていても、警察は必ずしもすべての対象事件について自動的に学校に連絡しているわけではなく、弁護士を通じて早急に警察に申し入れを行い、対応を協議してみる価値はあります。
2 職場や学校に捜査がはいったとき
特に、事件が職場内や学校で発生した場合には、警察が当該職場や学校に捜査をし、それにより事件のことが発覚することも考えられます。例えば、早急に示談をして被害届の提出を阻止する等して事件化を防ぐ必要があります。
3 (成人の場合)起訴されて正式裁判になった場合
詐欺事件は罰金刑がありませんので、起訴されると略式処分(罰金を支払うことによって手続きから解放される制度)はなく正式裁判となります。日本の裁判は公開されていますので、傍聴席に知り合いや会社関係者や報道関係者がいたりして、そこから事件のことが発覚することが考えられます。特に詐欺事件の場合、起訴を阻止すべく捜査段階から活動を行う必要があります。
4 (少年の場合)家庭裁判所送致になった場合
少年の場合、事件が家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所調査官が現在通学している学校、あるいは、これまでの出身学校等に少年の様子について調査することが少なからずあります。
家庭裁判所が行う調査は、今後の少年の更生のためにいかなる処遇が適切かという観点からなされるもので、その中で、少年の日頃の様子・学業の状況・学校の協力体制の有無等についても綿密に調べるのです。これにより、学校(あるいは出身校)に事件のことが発覚することが考えられます。弁護士を通じて調査官に対し調査を必要最小限にしてもらえるよう協議することが重要となります。
4.早期に弁護士に相談を!
詐欺事件のことが職場・学校に知られないようにするためには、事件後すぐに対応をとることが大切です。
警察や家庭裁判所への働きかけは、弁護士が間に入っておこなうのが有効です。当事者本人ではなかなか話を聞いてくれない場合でも、弁護士が連絡を入れることでスムーズに事が進む場合が少なくありません。
また、たとえ職場・学校に詐欺事件のことが知られたとしても、それで必ず懲戒免職・退学処分になるというわけでもありません。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、早期に適切な対応をとることで、懲戒免職・退学処分を避けられたケースが多くあります。
懲戒免職・退学処分がご心配な方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に是非ご相談ください。刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。今後の見通しや対応策について丁寧にお話いたします。被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。