他人のクレジットカードを使用し逮捕
他人のクレジットカード使用と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、兵庫県加古川市内の道端に遺失されていた財布を、忘れ物だからもっていってもいいだろうと思って拾い、中を見たところ、現金2000円とクレジットカードが1枚入っていました。
Aさんは現金とクレジットカードを抜き取り、さらに、クレジットカードを使って、コンビニで買い物をしてしまいました。
後日、Aさんの自宅に逮捕状を携えた兵庫県加古川警察署の警察官が現れ、Aさんは詐欺罪及び占有離脱物横領罪の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは兵庫県加古川警察署に引致され、取調べを受ける予定です。
(フィクションです)
~落とし物の財布の中身を使用したら何罪?~
今回のAさんの逮捕容疑となっているのは詐欺罪と占有離脱物横領罪です。
(詐欺罪)
詐欺罪とは、人を欺いて財物を交付させる犯罪です(刑法第246条1項)。
他人を欺いて財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させる場合も同様に詐欺罪となります(刑法第246条2項)。
裁判で詐欺罪の有罪が確定すると、10年以下の懲役に処せられます(刑法第246条)。
今回のケースの場合は、他人のクレジットカードを使ってコンビニで買い物をしたことが、詐欺罪を構成する行為と考えられます。
判例によれば、使用許諾のない場合には、他人のクレジットカードを使用すること自体が欺罔行為(騙す行為)であるとされています。
したがって、他人から盗んだカードや、ケースのように落ちていた財布から抜き取ったカードを用い、名義人であるかのように装って使用する場合は、加盟店(ケースの場合はコンビニがこれにあたります)に対する詐欺罪が成立する、ということになります。
詐欺罪は、法定刑に有期懲役しか予定されておらず、有罪判決を受ける場合に執行猶予がつかないと、実刑判決となってしまいます。
詐欺罪で起訴されてしまった場合は、執行猶予付き判決の獲得を目指すことが重要です。
(占有離脱物横領罪)
占有離脱物横領罪とは、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する犯罪です(刑法第254条)。
横領とは、不法領得の意思を以て占有離脱物を自己の事実上の支配内に置くことです。
法定刑は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料となっております。
ケースの場合は、道端に遺失されていた財布やその中身の現金、クレジットカードを自分の物にしようと思って拾ったので、この行為が、占有離脱物横領罪を構成すると思われます。
~逮捕後の刑事手続き~
兵庫県加古川警察署に引致され、犯罪事実の要旨、弁護人選任権があることを伝えられ、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。
留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めます。
勾留の請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されることになり、さらにやむを得ない事由があると認められるときは、最長10日間、勾留が延長されます。
Aさんが勾留されている場合は、勾留の満期日までに、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするか、釈放するかを決定します。
~早期の身柄解放を実現する~
上記の通り、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受けると、Aさんの社会生活(職場や学校)に多大な悪影響を与えます。
したがって、より早く釈放してもらい、元の生活に戻ることが重要です。
身柄解放活動として、
①勾留を阻止する活動
②勾留された場合には、勾留の取消等を目指す
③起訴された場合は、保釈の実現
などがあります。
いずれも、弁護士が留置場や拘置所の外で積極的に活動することが重要です。
また、被害者と示談することも重要です。
もし、ケースの事件について被害者が明らかになれば、示談交渉をすることができます。
早期に示談が成立すれば、当事者間で事件が解決したものと判断され、釈放される可能性が高まります。
さらに、終局処分を考えるうえで有利な事情として考慮されることになるでしょう。
まずは、接見にやってきた弁護士から、①今後の見通し、②身柄解放活動、③示談交渉についてアドバイスを受け、事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースの事件についてもご相談いただけます。
ご家族が詐欺事件や占有離脱物横領事件といった刑事事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。