出張費の架空請求が勤務先に見つかってしまった場合の弁護活動②
今回は、出張費を架空請求したことが勤務先の会社に見つかってしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
京都市北区に住むAさんは、勤務先のV会社に対して、出張をしていないのに出張をしたとして交通費等をV会社から受けていました。
ある日、ついにAさんの不正行為が発覚してしまい、会社から事情聴取を受けることになりました。
AさんがV会社の経理担当者から不正に支給を受けた出張費等は総額で300万円を超える見込みです。
V会社は「懲戒解雇は免れないと思う。ただし、返済さえしてくれれば被害届は出さない。」と言っています。
Aさんは返済すれば本当に被害届を出されないのか、また、刑事事件化しないのか等が不安でどうすればいいのか分からなくなってしまいました。
(事例はフィクションです。)
V会社と示談がまとまらない場合
V会社は「返済されれば被害届は出さない。」と述べていることから、反対に、返済できなければ被害届を提出されてしまうおそれがあると考えられます。
被害届を提出されれば警察に事件が発覚し、前回のコラムで説明したような詐欺罪などの犯罪の被疑者になってしまいます。
また、Aさんが不正に取得した金額が300万円を超える見込みであり被害額が高額であることから、事件化すれば逮捕されて身体拘束が長期化したり、起訴されてしまう可能性も十分考えられることでしょう。
弁護士に依頼してV会社と示談をする
事例の場合、V会社は刑事事件化については比較的消極的と見受けられるため、不正に支給を受けた交通費等を返済すれば穏便に事件を解決できる可能性が見込めます。
ただし、後の蒸し返しや、その他のトラブルが起こらないとも言い切れないため、これらを回避するためには、AさんとV会社との間に弁護士を入れて示談交渉を行うことをおすすめします。
弁護士に示談交渉を行ってもらうことにより、不当な条件を受諾することや、紛争の巻き返しのきっかけとなる原因を排除できる可能性があります。
また、Aさん本人がV会社と直接交渉しなくてもいいため、Aさん自身の負担も少なくなります。
無事に示談が成立すれば、示談書を作成することをおすすめします。
適切な示談書を作成することにより、紛争の巻き返しの予防、刑事事件化の予防を図ることができるでしょう。
もっとも、「適切な示談書」がどのようなものかはケースバイケースという他ありません。
弁護士は法律の専門家ですから、事件に応じた適切な示談書を作成する能力に長けています。
通常、弁護士に示談交渉を依頼すれば、示談が成立した際に、示談書を作成してもらえる場合がほとんどかと思われます。
疑問点があれば、示談交渉を依頼した弁護士に示談書の作成についても尋ねてみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を主に取り扱う法律事務所です。
勤務先から不正に出張費用の支給を受けてしまった、事件化しないために示談交渉を検討されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。