SNSで見つけたホワイトバイトに応募し、出し子をしたとして窃盗罪の疑いで逮捕された事例①
出し子について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、SNSでホワイトバイトと検索し、「未経験者歓迎!時給1万円~。週1日~勤務可能。」という求人を見つけました。
仕事内容を尋ねたところ、外出が難しい高齢者に変わってATMでお金を引き出す仕事だと伝えられました。
Aさんは怪しいと思いながら、犯罪に当たらないのか訊いたところ、グレーな部分もあるかもしれないが今まで仕事仲間が逮捕されるようなことはなかったと聞かされ、少し不安に思ったものの、高額な時給に惹かれたAさんは応募することにしました。
Aさんは指示されるがまま、神戸駅に赴き、コインロッカーからキャッシュカードと暗証番号が書かれた紙を取り出して、ATMから現金150万円を引き出しました。
Aさんは報酬として3万円をもらっていいと言われていたため、3万円を除いた147万円とキャッシュカード、暗証番号が書かれた紙をキャッシュカードなどが入っていたロッカーに入れました。
2か月後、Aさんは特殊詐欺事件にかかわったとして、兵庫県生田警察署の警察官に窃盗罪の疑いで逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
出し子
特殊詐欺事件では様々な役割があります。
かけ子や受け子、出し子などを聞いたことがあるかもしれません。
出し子とは、キャッシュカードを用いてATMなどでお金を引き出す役割をいいます。
今回の事例では、AさんはATMからお金を引き出していますので、出し子にあたるでしょう。
窃盗罪で逮捕?
今回の事例のAさんは窃盗罪の疑いで逮捕されています。
特殊詐欺事件であれば詐欺罪が成立しないのでしょうか。
基本的には、出し子を行うと窃盗罪が成立します。
詐欺罪は、簡単に説明すると、人に対して財物を交付するうえで重要な事柄について嘘をつき、嘘を信じた相手から財物の交付を受けると成立します。
一方で窃盗罪を簡単に説明すると、他人の所有物を所有者の許可なく、自分や第三者の物にすると成立する犯罪です。
ですので、詐欺罪が成立するためには、人を騙す必要があります。
Aさんはロッカーの中に置かれていたキャッシュカードを用いてお金を引き出す役割、いわゆる出し子を担っていますので、Aさんの行為に人を騙す工程はないので、詐欺罪にはあたらないと考えられます。
一方で、Aさんは口座の名義人ではないのに、不法にATMからお金を引き出し、自分や指示役などの第三者の物にしているといえます。
ですので、今回のAさんには窃盗罪が成立する可能性が高いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
出し子や受け子などで、特殊詐欺事件に加担してしまった方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。