1. 前科がつくと資格に影響する場合が出てくる
詐欺事件で有罪判決を受けると、資格に影響する場合があります。
具体的には、有罪判決を受けた人には前科が付き、資格に影響する場合が出てきます。有罪判決には懲役刑や禁錮刑以外にも罰金刑や科料があり、公開の公判を行わず、簡略的に書類で起訴をする略式起訴を行う場合があります。このような略式起訴により罰金刑を受けると前科がつきます。
なお、詐欺罪には罰金刑が設けられていないため、検察官が起訴すると無罪を得ない限り、前科が付くといっても過言ではありません。
2. 前科が付くと絶対的に制限されてしまう資格(絶対的欠格事由)
前科がある場合、各種の行政法規において、特定の資格・職業・国家資格などについて、「禁錮以上の刑に処せられた者」等を欠格事由としているもの(絶対的欠格事由)や、裁量によって免許を与えないとしているもの(相対的欠格事由)があります。
例えば、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者は社会福祉士または介護福祉士になることはできません。ここで、「禁錮以上の刑に処せられ」とは、禁錮以上の確定判決を受けたことをいい、執行猶予の場合も含まれます。
ただ、執行猶予が取り消されることなく猶予の期間を経過した場合には、刑の言渡しの効力を失うので、それ以降は制限がなくなります。
1 実刑の場合、実刑期間の満了まで制限される資格
- 国家公務員、地方公務員
- 自衛隊員
など
2 実刑の場合、実刑期間とその後2年間制限される資格
- 社会福祉士、介護士
- 保育士
など
3 実刑の場合、実刑期間とその後3年間制限される資格
- 公認会計士
- 行政書士、司法書士、不動産鑑定士
など
4 実刑の場合、実刑期間とその後5年間制限される資格
- 警備員
- 宅地建物取引士
- 貸金業者
5 実刑の場合、実刑期間とその後10年間制限される資格
- 学校教員
- 弁護士
など
「禁錮以上の刑に処せられた者」は「資格を有しない」と規定されていますが、これは一生その資格を取得できないというわけではありません。刑法34条の2は、刑の言渡しの効力の消滅について定めており、禁錮以上の刑の場合、刑の執行を終えてから罰金以上の刑に処せられないで10年以上を経過したときは、刑の言渡しの効力が消滅するとされています。よって、実刑の場合、実刑期間とその後10年間制限されることとなります。
3. 裁量によって資格を与えないとしているもの(相対的欠格事由)
・医師・歯科医師・薬剤師・看護師・保健師・柔道整復師・調理師 など
4. 資格に影響が出ないようにするためには
1 前科を避ける
前科を避けるためには、不起訴処分を勝ち取るのが早道です!
特に、詐欺罪には罰金刑が設けられていないため、不起訴を導くことは非常に重要となります。
一般的に不起訴処分に向けた最も有効な弁護活動は、被害者の方との示談です。
2 少しでも軽い処分(執行猶予)を目指す
少しでも欠格期間を短くするために刑事上有利な処分を得ることは重要です。具体的な活動としては、被疑者は十分な反省をしていて再犯防止のための環境も整っていることなどの有利な事情を示して、検察官に働きかけ有利な処分を獲得できるようにしてゆきます。
3 否認事件の場合には「不起訴」「無罪」を勝ち取る
詐欺罪の証拠が不十分である等の事情を示して、不起訴・無罪を目指してゆくことが考えられます。また、弁護士による適切な取調対応のアドバイスを受けることも重要となってきます。
詐欺事件で「資格に影響が出ないようにしてほしい」とお考えの方は、いつでも弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。詐欺事件に精通した弁護士が、「無料相談」を行います。詐欺罪で逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。