堺市の不正アクセス禁止法違反と詐欺罪で逮捕

堺市の不正アクセス禁止法違反と詐欺罪で逮捕

Aは、大阪府堺市において、他人のIDとパスワードを使い、他人のポイントサイトのアカウントにログインした。
Aは、上記ポイントを現金の代わりに使用できる店において、このポイントをあたかも自分のものであるかのように店員Vに提示し、同店の商品をだまし取った。
大阪府南堺警察署の警察官は、不正アクセス禁止法違反詐欺罪の容疑でAを逮捕した。
なお、Aは上記行為について一貫して黙秘している。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~不正アクセス禁止法と詐欺罪~

本件Aは、他人のポイントを使ってV店の商品をだまし取るという詐欺行為を行った疑いで逮捕されています。
まずこの行為の前提として、Aはインターネット上の他人のアカウントに不正にアクセスしていることが問題となります。
この点を規律する法律が、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(通称不正アクセス禁止法)です。

本件のAのVのアカウントに対する不正アクセス行為は、同法3条に違反する行為であると考えられます。 
もっとも、3条は「何人も、不正アクセス行為をしてはならない。」と定めるのみで、いかなる行為が「不正アクセス行為」であるのかは、この条文のみからでは明らかではありません。
そこで、さらに2条4項の定義規定に遡ると、各号によって詳しく「不正アクセス行為」が定義されていますが、本件で適用されると考えられる1号は、いわゆる不正ログインによる「不正アクセス行為」を禁止している規定になっています。
これが上述の3条と組み合わされることによって、他人のアカウントへの不正ログイン行為が「不正アクセス行為」として禁止されていることが分かります。
このような「不正アクセス行為」は、「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(同法11条)として罰則の対象とされていることに注意が必要です。

そして、Aはこのような不正アクセスによって得たアカウント情報をもとに、Vから商品をだまし取ったとされています。
この点に関して刑法246条は、
・「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」(同条1項)
・「前項の方法により(=人を欺いて)、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする(=10年以下の懲役に処する)。」(同条2項)
と定めており、財物の交付を目的とした行為には、1項(いわゆる1項詐欺)が適用されます。
上記条文から分かるように、詐欺罪が成立するためには、「人を欺」くことによって、財物を交付させたり、財産上の利益を得たりする必要があります。
ここにいう「人を欺」く行為とは、交付(財産的処分行為)の判断の基礎となるような重要な事項を偽ることとされています。
本件では、店員Vは提示されたポイントが本人のものであると信じたから商品を交付したといえ、いわゆる1項詐欺罪の成否が問題となるのです。

~弁護士による接見・弁護方針の決定~

逮捕されてしまった被疑者にも、憲法上の権利としての黙秘権(憲法38条1項)が認められており、刑事訴訟法上も取調べの際には黙秘権の告知が義務付けられています(198条2項)。
また、逮捕・勾留という制度が、あくまで罪証隠滅や逃亡のおそれを防いだ状態で捜査を行うためのものであり、取調べのための制度ではないということは今一度確認する必要があります。

さらに、わが国では改正刑事訴訟法の施行により、2019年6月までに(裁判員裁判対象事件および検察独自捜査事件における)取調べの録音・録画が実施されるようになります。
2018年現在すでに上記対象事件においては、大部分において試験的に取調べの録音・録画が実施されています。
このような状況下では、上記録音・録画の対象事件においては、かつて行われてきたような取調官による、強圧的あるいは誘導的な供述の実質的強要は困難になるといえるでしょう。
そして、なお予断は許さないものの、このような傾向は録音・録画の非対象事件にも影響を与えるものと考えられます。
よって、弁護士としては、被疑者に黙秘を貫かせるか否かを含め、事件の概要を把握した上で、より被疑者に有利になるような弁護活動や弁護方針を打ち出すことが重要になってきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件にも強いと評判の刑事事件専門弁護士が所属する法律事務所です。
逮捕されてしまうと、逮捕中の家族との接見(面会)は原則として叶わず、逮捕されてしまったご家族の状況は外の者には全く分からないものとなってしまいます。
365日24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、迅速な弁護士接見などご家族のご要望にお応えいたします。

 

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