さいたま市の詐欺事件で逮捕・勾留の阻止

さいたま市の詐欺事件で逮捕・勾留の阻止

Aは、代金を支払う意思もないのに、さいたま市大宮区にあるホテルに宿泊し、食事等のサービスも受けた。
翌日、Aはホテルの従業員に対し、知人を見送るといってホテルの外に出て、そのまま逃走した。
ホテル側が埼玉県大宮西警察署まで通報し、埼玉県大宮西警察署の警察官は、Aを詐欺罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~1項詐欺と2項詐欺について~

一般に刑法上の詐欺罪というと、嘘をついて人からお金や財物(財産的価値のある物など)をだまし取るという行為が典型的な詐欺行為として想定されるのが通常かと思います(昨今では、この特殊類型として特殊詐欺事件なども報道されることが多くなっています)。
このような通常の詐欺罪として想定される行為は、刑法246条1項によって処罰が規定されていることから、1項詐欺などと呼ばれます。

これに対して、さらに刑法は246条2項において、「前項の方法により(注:人を欺いて)、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」と、上記のような詐欺に加えて利益詐欺利得詐欺)も処罰することを定めています(こちらは246条1項と対比して2項詐欺などとも呼ばれます)。
例えば、同じ財産犯罪でも窃盗罪(刑法235条)においては、利益窃盗は不可罰とされており(235条には上記246条2項のような規定は存在しません)、暴行又は脅迫を用いた強盗罪や人を欺く手段を用いた詐欺罪等の場合にのみ処罰の対象とされていることに特色があります。

本件では、宿泊費などのサービス料という「利益」を免れ逃走したことが、いわゆる2項詐欺罪にあたるかが問題となります。
詐欺罪が成立するには、246条の1項2項いずれにしても、被害者の意思に基づいて財物や利益が移転する必要があります。
この点、判例(最決昭和30年7月7日)は、いわゆる2項詐欺の成否に関して、詐欺罪で得た「財産上不法の利益」が、債務の支払を免れたことであるとするには、相手方を欺いて債務免除の意思表示をさせることを要し、単に逃走して事実上支払をしなかっただけで足りるものではないとしています。
したがって、本件では被害者の意思に基づく上記の利益に対する処分行為(意思表示)までは認められず、いわゆる2項詐欺は成立しない可能性が出てきます。
もっとも、本件でAは宿泊する際にすでに宿泊費を含むサービス料等を支払うつもりはなかったことから、飲食物や宿泊費という「財物」に対する1項詐欺罪が成立し、刑事責任を負う可能性があることに注意が必要です。

~勾留の阻止のための弁護活動~

被疑者が逮捕されてしまうと、逮捕から72時間以内に、検察官が10日間の身体拘束を伴う勾留を請求するかどうかを決めなければなりません。
これを受けた裁判官が、被疑者に対する勾留質問を経た上で、勾留をするかどうかを判断します(刑訴法207条1項本文・60条1項)。
さらに実務上、この10日間の身体拘束の請求は、期間を短縮して請求することが許されておらず、最大3日+10日間(さらに勾留は延長される可能性もあります)という重大な不利益を被る可能性があることになるのです。

したがって、弁護士としては、これを阻止し一刻も早く被疑者の身体拘束からの解放を目指すことになります。
勾留要件を定める60条1項は、2号において「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」を定めており、これが中心的な争点になることが考えられます。
よって、上記「罪証隠滅のおそれ」につき、その可能性が現実的といえるほどに高いのかどうか(最決平成26年11月17日参照)、具体的な検討を求めること等が検討されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
詐欺事件で逮捕された方のご家族は、365日24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

 

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー