詐欺罪で逮捕・無罪主張

詐欺罪で逮捕・無罪主張

詐欺罪での逮捕および無罪主張について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

Aは,東京都あきる野市の地方公共団体から建設工事を請け負ったが,工事費用請求のための書類に虚偽の内容を記載をし,これに基づいて工事費用の支払いを受けた。
その後,Aの書類に虚偽の内容があることが発覚し,警視庁五日市警察署に被害深刻がなされた。
捜査を行った警視庁五日市警察署の警察官は,Aを詐欺罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~詐欺罪の成立要件について~

本件では,Aは詐欺罪によって逮捕(刑事訴訟法199条1項)されてしまっています。
この点,刑法は,246条1項において「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と,金銭のような財物を詐取する行為などを詐欺罪として処罰する旨を定めています。
上記の条文の文言上は「人を欺いて財物を交付させた」としか書かれていませんが,一般に詐欺罪の成立には,欺もう行為(「人を欺」く行為)→錯誤→交付行為→財物の移転という各要件および矢印で表したような各要件の連関が必要であると解されています。

そして,近年における判例では,欺もう行為(「人を欺」く行為)に該当するか否かは,交付の判断の基礎となるような重要な事項を偽ったかどうかによって判断されるものと考えられています。
本件では,被害者である地方公共団体の職員においては,真正な書類に基づいて適切に費用の支払い事務を行うことが,工事費用の交付の基礎となる重要事項であると考えられ,Aの行為は欺もう行為(「人を欺」く行為)に該当すると判断されたことから,他の要件およびその連関も認められ,詐欺罪による逮捕に至ったものと考えられます。

~詐欺罪における無罪主張~

しかし,詐欺罪における判例(最判平成13年7月19日およびその差戻審参照)には,本件と似た地方公共団体からの工事を請け負ったケースにおいて,真正な書類と虚偽の書類とを提出した場合で,相手方が支払う請負代金額が変わることはないケースであったことなどを考慮し,詐欺罪の成立を否定したものが存在します。
これは,そもそも財産的損害がない(あるいは極めて軽微な)場合には,重要な事項を偽ったものとは評価できず,欺もう行為(「人を欺」く行為)該当性を否定した判例として読むことが可能です。
そして,欺もう行為(「人を欺」く行為)の存在が認められない場合には,詐欺未遂罪すら成立しないことになります。
したがって,刑事弁護の依頼を受けた弁護士としては,本件が上記判例のように不当な金額を受け取ったわけではなく,あくまで支払い時期をわずかに早めたにすぎないケースであること等から,詐欺罪が成立しないという可能性を十分に精査する必要があると考えられます。

このような判例や刑事事件に関する専門知識を依頼者側が有していることは通常では考えられないことから,弁護士としては,被疑者の捜査官による取調べに対する認否等に関しても適切なアドバイスを与えることが重要になってきます。
そのためには,逮捕されてしまった被疑者との接見を重ね,また関係者等から詳しい事情を聞くなど事実関係を詳細に洗い出す弁護活動が必要となってくるでしょう。
なお,Aの行為に関する補足として,Aが内容虚偽の文書を作成したにとどまる場合(作成名義人等を偽っていない場合)には,文書偽造罪は原則として成立しないということに注意が必要です。

特に無罪の可能性がある事件においては,黙秘権の行使等を含め,上述のような捜査官の取調べに対する対応について,専門知識を有する弁護士との協議が必要不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,詐欺事件を含めた刑事事件のみを多数取り扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件逮捕された方のご家族は,まずは弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
逮捕された方への弁護士による初回接見サービスなど,刑事事件において重要な迅速性を備えた弁護活動を行ってまいります。

 

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