1.逮捕とは?
「逮捕」とは、捜査機関が被疑者を短期間拘束することをいいます。
逮捕手続きには(1)通常逮捕、(2)現行犯逮捕(準現行犯逮捕)、(3)緊急逮捕の3種類があります。
(1)通常逮捕
事前に裁判官が「逮捕することを許可する」旨の令状を発付して行われる逮捕のことをいいます。
裁判官は、捜査機関より提出された資料を検討して、「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」があると認めた場合には逮捕状を発します。
「逮捕の理由」とは、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることで、「逮捕の必要性」に関しては、明らかにその必要がないと認める時を例外として却下するもので、そうでない限り、逮捕状の発付が認められているのが実務です。なお、逮捕状には2つの制限があります。
1つ目としては、「一定の軽い犯罪」については、その人が住居不定であるか、警察の呼び出しを正当な理由なく無視した場合でなければ、逮捕することはできません。ここで「一定の軽い犯罪」とは、30万円以下の罰金、拘留または科料にあたる罪のことをいいます。具体例としては、軽犯罪法違反等をあげることができます。
次に、2つ目として、国会議員の逮捕を挙げることができます。憲法では「両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない」と規定されています。「法律の定める場合」は院外の現行犯と議院の許諾があるときです。
(2)現行犯逮捕・準現行犯逮捕
刑訴法は「現に罪を行っている」者を「現行犯人」と呼び、現行犯人は一般の市民でも逮捕できるとしています。犯罪が現に行われているときやその直後に犯人を逮捕するものです。
一方、警察官が現場に到着したときすでに犯人の姿がなかった等の場合でも現行犯に準ずるものとして逮捕することができます(「準現行犯」逮捕と呼びます)。
具体的には、
①犯人として追呼されているとき、
②賍物(日常用語の「盗品」)又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき、
③身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき、
④誰何(呼びとめることを意味し「すいか」とよみます)されて逃走しようとするとき
のいずれかに当たる者が「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす」とされています。
そして、一般の方が現行犯人を逮捕したときは、直ちに捜査機関(例えば警察官)に引渡さなければなりません。
(3)緊急逮捕
犯罪が行われてから時間がたっているのに急いで逮捕しなければならない事情があるときに認められるものです。
緊急逮捕の要件は下記のとおりです。
- 一定の重罪事件
死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる罪 - 充分な嫌疑がある(通常逮捕の嫌疑より高いものが要求されます)
- 急速を要し逮捕状を求めることができない、また、必要性もある
- 事後に「直ちに」逮捕状請求の手続きを行う
2.詐欺事件で逮捕されたときの手続きの流れ
詐欺事件の加害者・犯人や容疑者は、警察などの捜査機関に逮捕された後、警察署内の留置場や拘置所などの留置施設に身体を拘束されて、取調べを受けます。警察官による逮捕の場合、逮捕時から48時間以内に、詐欺事件の加害者・犯人や容疑者の身体について、釈放するか警察から検察庁に送る(送致・送検)かが決まります。
送致・送検によって警察官から詐欺事件の加害者・犯人や容疑者の身体を受け取った検察庁の検察官は、24時間以内に留置(身体拘束継続)の必要性を判断することになります。引き続き詐欺事件の加害者・犯人や容疑者の身体拘束を継続する必要性があると判断した場合、検察庁の検察官は、裁判所の裁判官に対して、詐欺事件の加害者・犯人や容疑者の身体拘束を継続するよう請求します(勾留請求)。
検察官の勾留請求を受けた裁判所の裁判官が、勾留決定によって身体拘束継続を認めた場合には、詐欺事件で逮捕された加害者・犯人・容疑者の身体は、引き続き最大20日間、警察署内の留置場や拘置所などの留置施設に拘束されることになります。
警察による逮捕直後の72時間は、詐欺事件の加害者・犯人や容疑者にとって、取調べによる調書作成や勾留による身体拘束継続か釈放の決定が行われる極めて重要な時期になります。ところが、逮捕直後(勾留決定前)の段階では、逮捕された方と面会できるのは基本的に弁護士のみに限られます。
3.逮捕直後の面会、取調べ対応、釈放のための迅速な弁護活動
- 検察官へ勾留請求阻止(釈放)の働きかけ
- 逮捕直後の面会(接見)による詐欺事件の取調べ対応
- 逮捕直後の面会(接見)による詐欺事件の調書作成のアドバイス
- 被害届の提出・告訴などを防ぎ、詐欺事件の事件化阻止
- 詐欺事件の被害者側と示談交渉
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