詐欺罪と窃盗罪で逮捕・即決裁判手続

詐欺罪と窃盗罪で逮捕・即決裁判手続

京都市北区に住むAは、Aではなく他人名義を冒用し、消費者金融にて係員Vをだましてローンカードを作成した。
そしてAは、上記係員に説明を受けながら、同所のATMから現金を引き出した。
その後、Aに名義を利用された人物が、利用した覚えのない消費者金融の通知を見て警察署に相談した。
捜査の結果、京都府北警察署の警察官は、Aを詐欺罪窃盗罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件を含む刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~詐欺罪と窃盗罪~

Aは、詐欺罪および窃盗罪によって逮捕されています。
まず、Aが消費者金融において他人名義でカードを作った行為について検討してみましょう。
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者」を財物に対する詐欺罪(いわゆる1項詐欺)として処罰する旨を定めています。
そして、判例・実務は、平成22年7月29日の最高裁決定を契機として、詐欺罪における「人を欺」く行為とは、欺く行為の対象が交付の基礎となる重要な事項か否かという基準によって、詐欺罪(厳密には「人を欺」く行為の該当性)の成否を判断するという立場を確立したといわれています。
本件では、ローンカードが本人名義であるかどうかは、消費者金融のカードの審査・交付にあたって重要な事項であるといえ、1項詐欺罪が成立するものと考えられます。

次に、ATMを使って現金を引き出した行為について見てみましょう。
本件では上記詐欺行為によって詐取(騙取)したカードによって、現金を引き出すために係員の説明・補助を受けながら、現金を引き出しています。
しかし、仮に説明や補助を受けていたとしても、あくまでA本人が、店に設置されたATMから消費者金融(同支店長)が占有する現金を、消費者金融の意思に反して「窃取」していることに変わりはありません。
したがって、本件のように仮に補助・説明を受けながらATMから現金を引き出したとしても詐欺罪は成立せず、窃盗罪が成立するものと考えられます(最判平成14年2月8日等参照)。

そして、これらの罪は併合罪として、刑法45条前段・47条により重く処罰されます。
なお、他人名義のカードを作る際に書類等を偽造した行為について有印私文書偽造罪、同行使罪の刑事責任も負う可能性があることに注意が必要です。

~即決裁判手続等の利用による刑事手続からの早期解放~ 

こうした詐欺窃盗事件では、弁護士としてまずは、被疑者にとって最も不利益の少ない不起訴処分を目指す弁護活動を行うことが考えられます。
しかし、これが功を奏さないと判断した場合、通常の公判手続(通常の刑事裁判)ではなく、簡易迅速な手続を利用することによって、被疑者の利益を図るという選択もあり得るところです。
例えば、刑事訴訟法350条の16以下が規定する即決裁判手続の利用などです(今般の刑訴法改正により従来の条文番号がずれている点に注意してください。)。

同手続によれば、「裁判所は……できる限り、即日判決の言渡しをしなければならない」(刑訴法350条の28)とされ、さらに「即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない」(同法350条の29)とされています。
仮に、逮捕後に勾留による身体拘束を受けていたとしても、刑の全部の執行猶予の告知を受ければ直ちに身体拘束から解放されることが可能になります(同法345条参照)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む財産犯の弁護活動に長けた刑事事件専門の法律事務所です。
日々、刑事事件・刑事手続に携わっているプロフェッショナルである弁護士が、依頼者様の利益の最大化を目指した弁護活動を行ってまいります。
詐欺窃盗事件で逮捕された方のご家族は、まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。

 

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