詐欺事件の種類

詐欺事件の種類

詐欺事件の種類について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース①~
Aさんは東京都足立区にある高齢者の家に電話をかけ,現金を指定口座に振り込ませたり指定場所に現金を持ってこさせるいわゆる「振り込め詐欺」を行った。
そして捜査の結果,Aさんは警視庁西新井警察署詐欺罪の容疑で逮捕された。

~ケース②~
Bさんは,特に中身のない情報商材を「これを読めば誰も必ず儲かる投資の裏技!」と称して3万円で販売した。
投資に興味を持っていた東京都足立区に住むVさんはBさんから上記商材を購入した。

~ケース③~
暴力団の元構成員であったCさんは東京都足立区のゴルフ場Xにおいて,友人であるCさんとともにゴルフを楽しんだ。
Xの利用約款には現在のみならず過去に一度でも暴力団に所属したことがある者の施設の利用を禁止する旨が約款に明記されていた。
(上記事例は①~③全てフィクションです)

~詐欺罪~

詐欺罪は刑法246条に以下の様に規定されています。

刑法246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により,財産上不法の利益を得,又は他人にこれを得させた者も,同項と同様とする。

通常,詐欺事件と言うとほとんどの場合は刑法246条1項が適用されます。
刑法246条2項が適用される場合は,現金や物を交付させるのではなく,相手に債務を負わせたり自らの債務を免れた場合です。
また,詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役のみですので略式手続き(罰金を納めて事件終了とする手続き)を採ることはできず,起訴された場合には刑事裁判を受けることになります。
詐欺罪には未遂の処罰規定があるので,未遂であっても罰せられます(刑法250条)。

詐欺罪の具体的な構成要件は以下のようになります

1.相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為,欺罔行為又は詐欺行為をすること
2.相手方が錯誤に陥ること
3.錯誤に陥った相手が,その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること
4.財物の占有または財産上の利益が行為者もしくは第三者に移転すること

これらに加え,上記1~4の間に因果関係が認められ,行為者に行為時においてその故意及び不法領得の意思があったと認められることによって,詐欺罪が成立することとなります。

~刑法246条1項の詐欺~

以下では,刑法246条1項の詐欺罪に該当する代表的な詐欺を事例とともに見ていきましょう。

◇振り込め詐欺◇
振り込め詐欺のような特殊詐欺は,高齢者等の被害者に対し,家族であったりその友人であると嘘をつき,何らかの事情により金銭が必要になったと伝え,金銭を騙しとる手法です。
したがって,家族である事や金銭が必要になったという嘘をついているので欺罔行為があるといえるでしょう。
相手はそれを信じてしまうので錯誤に陥っているといえます。
そして相手は家族や友人を救うために自己の意思で現金を手渡したり振込んだりしています。
結果として金銭が行為者や第三者(受け子)に占有が移転します。
これらの間には因果関係が認められますので当然,詐欺罪となります。
今回の「ケース①」がこの振り込め詐欺にあたります。

◇情報商材◇
情報商材を売る行為そのものは何ら違法性はありません。
しかし,情報商材の中身によっては詐欺罪に問われてしまう可能性があります。
今回の「ケース②」のように明らかに情報商材の中身がないにもかかわらず,宣伝文句を用いて販売した場合にはそれが欺罔行為となり,相手はちゃんとした商材であると錯誤に陥り,それによって代金を支払います。
そしてこれらの間には因果関係が認められますので詐欺罪が成立するでしょう。

~刑法246条2項の詐欺~

刑法246条2項の詐欺は事件となることはあまり多くありませんが,典型例としては相手を騙して何らかのサービスを受ける,施設等を利用するというケースが挙げられます。
有名な事件としては,ケース③のように暴力団が身分を隠してゴルフ場を利用した事件があります。
過去の判例は「暴力団でないと偽った場合」には2項詐欺の成立を認めましたが,「暴力団であることを隠していた場合」には詐欺罪は成立せず無罪としました。
この2つの違いは,「暴力団でないと偽る」という積極的な欺罔行為があったかどうかによると考えられます。
ただし,事件の細かな状況によってどういった行為が欺罔行為とされるのかは異なりますから,まずは弁護士に相談してみましょう。

~詐欺事件の弁護活動~

詐欺罪には罰金刑の規定がないので,起訴された場合には刑事裁判を受けることになります。
執行猶予がつくこともありますが,件数や被害額,手口によってはいきなり実刑判決となることもあります。
特に,振り込め詐欺などの特殊詐欺は関わり度合いによっては執行猶予が付かない事も多くなっています。
無罪であれば別ですが,詐欺罪は起訴されてしまうと少なくとも執行猶予がついてしまいます。

そのため,弁護活動としてはまずは起訴されないように活動することが考えられます。
詐欺事件の場合,もちろん件数や被害額にもよりますが,被害者と示談をし,宥恕がもらえれば不起訴となる可能性は高くなります。

ただし,詐欺事件では示談を自身で行うのは困難です。
被害者の方は一度詐欺の被害に遭っているわけですから,示談など話合いに簡単には応じてもらえないのが通常です。
弁護士相手であれば被害者の方も示談など話会いに応じてもらえる可能性があります。
詐欺事件を起こしてしまったらまずは弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件専門の法律事務所です。
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