詐欺の疑いで特殊詐欺「受け子」役の男を逮捕
特殊詐欺による「受け子」の逮捕に伴う弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
京都府亀岡警察署は特殊詐欺の「受け子」役として、昨年10月11日、女性(85)の息子の友人を装って、亀岡市内の女性宅にて現金100万円を受け取った疑いで、無職の男(25)を逮捕しました。
「かけこ」役である他の男が女性の息子を装い、交通事故の慰謝料として現金を友人が取りに行くと電話をしていたとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
「受け子」とは?どんな罪になる?
「闇バイト」の一種である特殊詐欺には様々な役割があり、そのうちの一つが「受け子」といわれている役割です。
「かけこ」が高齢者宅を狙って電話をかけ、銀行員、警察、親族などを騙ります。
そして、様々な理由をつけて、現金もしくはキャッシュカードを用意するよう高齢者に指示をします。
「かけこ」の電話後、「受け子」がその高齢者宅に直接赴きます。
そこで電話で伝えた通りの銀行名、警察署名、親族の名前などを告げ、あたかも当人であるかのように装います。
そして電話で指示したように高齢者が準備した、現金またはキャッシュカードを受け取ります。
「出し子」はキャッシュカードを受け取り、ATMで現金を引き出します。
以前は被害者に現金を引きださせ、現金を受け取る形が主流でしたが、近年は銀行、コンビニなど「オレオレ詐欺」による大金を引きだす高齢者への注意喚起がされるようになり、キャッシュカードを奪う、もしくはすり替える形に変わりつつあるようです。
「受け子」は高齢者などに対し、「かけこ」が電話した人物になりすまし現金もしくはキャッシュカードを騙し取るため、詐欺罪(人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する(刑法第246条1項))が成立する可能性があります。
今回の事例では女性宅に息子の友人を装って、犯罪になることを認識しつつ(故意)、女性を欺いて現金(他人の占有する財物)を騙しとっている(交付させている)ため詐欺罪が成立するでしょう。
受け子による逮捕
逮捕にはいくつかの方法があります。
(1)現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、現行犯人(現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者)(刑事訴訟法第212条1項)を逮捕することで、逮捕状なしで誰でもできます。
つまり行われた犯罪と犯人が明白で時間に密着していて逮捕が必要な場合があてはまります。
「受け子」の場合、現行犯逮捕されるケースも考えられるでしょう。
「かけこ」から電話があった高齢者がすぐに警察に連絡をし、「受け子」が高齢者宅で騙しとるところを、待ち伏せしていた警察官に逮捕される場合です。
(2)現行犯以外の逮捕
被害者から警察に被害届がだされた後、防犯カメラや共犯者を足掛かりに捜査が進むことになるでしょう。
そして突然自宅に警察が来て、警察官から逮捕状の提示、逮捕理由の告知があり警察署に連行されることもあります。
受け子で逮捕されてしまったら弁護士へ
受け子で逮捕された場合、他の共犯者なども含めた捜査で長い期間勾留(最大20日間)されることもあり、仕事や学業に支障をきたすことがあります。
弁護士を通じて、罪証隠滅や逃亡のおそれがないことを訴える書類を作成・裁判所へ提出してもらえば、釈放される可能性もあるでしょう。
また、特殊詐欺は被害金額が高い場合が多いため、初犯でも有罪になる可能性があります。
「2021年版犯罪白書」によると「受け子」や「出し子」として詐欺罪・窃盗罪などで有罪判決を受けた被告のうち、過半数の55%が実刑判決を受けているとのことです。
つまり執行猶予を受けにくく、犯罪組織で末端にすぎない役割の「受け子」「出し子」でも、裁判所が厳罰を科している傾向がわかります。
そのため、弁護士を通して、速やかに被害があった相手と交渉をしたり、警察や検察に働きかける防御活動が重要になってきます。
また、ご家族が「受け子」の事件を起こして逮捕されていて早期釈放してほしい、不起訴処分を獲得して前科を避けたい、起訴されても量刑を少しでも軽くしてほしい、といった場合は、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをおすすめします。
私ども、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、受け子はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に精通した法律事務所です。
ご家族が逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
弁護士がご本人から直接事実関係などを確認した上で、現在の状況や今後の見通しについて詳しい説明を受けることができます。
またその他にもご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120―631―881)にて24時間365日受付中です。
ご家族が受け子をして逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。