【口座譲渡】銀行での詐欺行為で逮捕・刑事弁護士の弁護活動

銀行における詐欺行為によって逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

 

事例:Aは、とある銀行の店舗において、自己名義の預金口座を開設し、その後預金通帳やキャッシュカードの交付を受けた。

しかし、口座の開設を申し込む際、Aはその後に交付される預金通帳やキャッシュカードを第三者に譲渡する意図を持っていた。

  • ●警察署の警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。

Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

 

~金融機関における通帳等の詐取~

 

(詐欺)

第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

刑法が規定する詐欺罪(刑法246条)には、いわゆる1項詐欺と2項詐欺があります。

これは上記条文を見て頂ければ分かる通り、加害者が得るものが「財物」(1項)であるか「財産上……の利益」(2項)によって峻別されます。

本件では、Aの詐取目的となっているものは、預金通帳やキャッシュカードであるため、これらは「財物」を対象とする詐欺として1項詐欺罪の成否が問題となります。

なお、これらが刑法によって保護に値する「財物」といえるかは問題になり得ますが、通帳やキャッシュカードに刑法的保護に値する財産的価値があることについては現在では特に争いはないと言っていいでしょう(最決平成14年10月21日参照)。

 

以下では、本件行為が「人を欺いて」「財物を交付させた」として1項詐欺罪が成立するか、念のため確認しておきましょう。

「人を欺」く行為とは、判例上、交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることをいうとされています(最決平成22年7月29日等)。

そして、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下、犯罪収益移転防止法)が、金融機関等に本人確認義務等を課しており(同法2条や4条参照)、口座の不正利用を回避するためのこれらの法的確認義務等は金融機関等にとって交付の判断にあたって重要な事項であることは明らかであるといえます。

したがって、これを偽りあるいは他人に預金通帳やキャッシュカードを譲渡する意図を秘して、「財物の交付させた」行為には、1項詐欺罪が成立することになります。

 

さらに、この詐取した通帳等を第三者に譲り渡した場合には、別途犯罪収益移転防止法28条2項 前段・後段違反として通帳等の譲渡し罪が成立する可能性があります。

これらは詐欺罪とは併合罪(刑法45条前段)となることから、その処断刑(刑法47条)にも注意が必要です。

 

~預金通帳等の詐欺事件における弁護活動~

 

詐欺罪も含む財産犯などの個人的法益に関する犯罪については、被害者との間に示談を成立させることが、検察の終局処分(起訴/不起訴)の判断に大きく影響します。

しかし、本件のような金融機関等に対する詐欺事件の場合、示談が成立する見込みは極めて低いと言わざるを得ません。

したがって、預金通帳等を詐取した場合には、その後どのような犯罪に利用されたかなどによって、事件の見通しは変化しうると思われます。

このように一口に詐欺事件といってもその態様は多種多様であることから、専門性の高い刑事弁護士に相談することが必要不可欠であるといえます。

 

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含め刑事事件を専門とする法律事務所です。

近年、特殊詐欺事件の社会問題化による厳罰化や詐欺事件に関する判例・裁判例の蓄積など、詐欺事件は刑事弁護の最前線の一つと言っても過言ではありません。

詐欺事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)に まずはお電話にてお問い合わせください。

 

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