(事例紹介)息子になりすましたオレオレ詐欺
20歳未満のお子さんがオレオレ詐欺で逮捕されたという事件報道を踏まえ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
・参考事例
息子になりすまして80代の女性から現金300万円をだまし取ったとして、17歳の少年が逮捕されました。
詐欺の疑いで逮捕されたのは大阪府富田林市に住む自称・土木作業員の17歳の少年です。
少年は何者かと共謀し2023年4月3日、札幌市東区に住む80代の女性から現金300万円をだまし取った疑いが持たれています。
警察によりますと4月3日、女性の自宅に息子を名乗る人物から「病院に行ったら喉にポリープができていた。得意先に渡す予定だったお金が入ったかばんを病院で無くした。きょう中に渡す必要があるのでお金を用意してほしい」などと電話がありました。
女性はこの話を信用し、自宅に来た者に現金300万円を渡し、だまし取られたということです。
翌日、函館市内でオレオレ詐欺の予兆電話が数件あり、警察が市内を捜査していたところ、不審な行動をしていた少年を発見。職務質問をしたところ、前日に札幌市で起きた事件への関与が浮上したため、5日逮捕しました。
少年が息子を名乗り電話をしたのか、現金を受け取りに女性の自宅に行ったのかなどは捜査中で、警察はほかに共犯者がいる可能性が高いとみて調べています。
警察は何か不審に思ったら詐欺の相談などができる警察相談専用電話「#9110」に電話してほしいとしています。
(北海道ニュースUHB 令和5年4月5日(水) 13時11分配信 「「喉にポリープが…病院でかばん無くした」80代女性から300万円だまし取る 詐欺で”17歳少年”逮捕」より引用)
・オレオレ詐欺について
参考事件ではオレオレ詐欺事件が取り上げられています。
オレオレ詐欺は特殊詐欺の類型の1つです。
特殊詐欺とは、電話や手紙などの方法で相手と対面することなく信用させ、指定した銀行口座へ振り込ませる等の方法によって、不特定多数の人から現金などを騙し取る詐欺罪の手口の総称です。
今回事例で紹介されているオレオレ詐欺は、親族などになりすまして「事故を起こして怪我をした」「会社の金を使い込んだ」などと嘘をつき、解決するために金が必要という電話をかけ、銀行口座に振り込ませたり受け子に受け取りに行かせるなどの方法で被害者を騙し金を受け取るという詐欺行為です。
オレオレ詐欺の場合、その方法や立場により窃盗罪や詐欺罪、電子計算機使用詐欺罪が成立します。
・オレオレ詐欺事件での示談交渉
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、報道のようなオレオレ詐欺を含め数多くの特殊詐欺事件の弁護活動を経験してきました。
オレオレ詐欺などの事件で最も重要かつ難しい弁護活動として、示談交渉が挙げられます。
示談交渉は、被害者がいる事件で、被疑者・被告人(加害者)が被害者に対して罪を認め謝罪をし、弁済を行い、示談書の締結やその内容についての協議を行うことを意味します。
特殊詐欺事件の場合の示談が難しい理由は、示談金が膨大になる可能性が高いからです。
まず、特殊詐欺事件では被害者から受け取る金額が大きく、キャッシュカードを詐取するような事件では被害者のいわば全財産を奪うことになりかねません。
そして、その被害金額については、受け子は指示役に送金することが一般的で、経験上、受け子が報酬等と称して受け取る金額はかなり少ない、あるいは一文もないことがほとんどです。
また、受け子は逮捕されるまでに多くの被害者宅で事件を繰り返していることが考えられます。
よって、受け子は金を貰っていないが、被害者は大きな被害を受けていて、その被害者が多数いるという可能性が少なくないのです。
被害者としては、当然、被害金額全額の弁済を希望されると考えられます。
刑事事件とは別の手続きである民事訴訟が提起され、被害者が受け子に賠償請求した場合、受け子をしている以上は共同不法行為として、被害金額の一部または大部分の賠償が認められる可能性もあります。
とはいえ、受け子自身は金を持っていない以上、家族などが弁済を肩代わりする、という流れになる場合が一般的です。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、共犯者が逮捕されている場合には共犯者の代理人弁護士と協議し示談金の折半を粉うなどの対応が必要になりますし、金額によっては分割でお支払いをする等の交渉が必要になります。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺事件で20歳未満のお子さんが逮捕されていて、示談交渉について知りたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。