(事例紹介)補助金詐欺事件で有罪判決 三重県津市
~事例紹介~
津市から補助金を詐取したとして、詐欺の罪に問われた(中略)被告(54)の判決公判が26日、津地裁であり、四宮知彦裁判官は懲役1年4月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
四宮裁判官は判決理由で、内容虚偽の見積書や領収書を用意し、必要書類をそろえて補助金の交付申請を行うなどした犯行手口は「手の込んだ悪質なもの」と非難した。一方、全額を市へ返還し、反省していることも踏まえ執行猶予を付けた。
判決によると、共犯者と共謀し、令和2年6月10日ごろから7月22日ごろまでの間、当時副自治会長を務めていた柳山港中路町自治会内に設置するごみ収集庫3基の工事代金が135万3千円である旨の内容虚偽の見積書などを市に提出し、8月6日、自治会名義の口座に補助金45万円を振り込ませた。
(※2022年5月27日伊勢新聞配信記事より引用)
~補助金詐欺事件~
今回の事例では、自治体から補助金をだまし取ったとする詐欺罪の容疑で被告人が起訴され、刑事裁判の結果、有罪判決がくだされたと報道されています。
報道されている判決によると、被告人は、虚偽の内容の見積書などを自治体に提出し、補助金を振り込ませたとされています。
この行為が詐欺罪に当たるとして刑事裁判が開かれ、最終的に懲役1年4月、執行猶予3年という有罪判決が下されています。
刑法では、「人を欺いて」財産を交付させることを詐欺罪としています。
刑法第246条第1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
今回の事例では、自治体に対して虚偽の内容の見積書などを提出し、その内容を自治体に信じさせた部分が「人を欺いて」という部分に当たります。
そして、嘘を信じた自治体が補助金=「財物」を交付したということから、詐欺罪に問われたということなのでしょう。
~詐欺事件と執行猶予~
今回の事例では、執行猶予判決が下されています。
詐欺罪は、先ほど挙げた条文にある通り、「10年以下の懲役」という刑罰が定められています。
罰金刑の規定がないため、詐欺罪で起訴されるということはイコール、刑事裁判を受けるということになります。
そして、執行猶予がつかなければ、刑務所に行くということに直結します。
詐欺事件で執行猶予が付くかどうかは、様々な事情を総合的に考慮して判断されます。
例えば、詐欺事件自体の悪質性、被害金額の大きさなども考慮されます。
他にも、詐欺事件が起こった後の対応、例えば被害者への被害弁償の有無なども判断の要素となります。
今回の事例では、虚偽の内容の領収書など書類をそろえて補助金の申請を行っている点については計画性が認められ悪質であるというマイナスな評価を受けていますが、受けた補助金を全て返済している=被害弁償をしているという部分ではプラスの評価を受けており、その結果有罪判決ではあるものの、執行猶予がつけられるという結果になっています。
詐欺事件では、こうした被害弁償の有無や事件の後の反省の深まりなども、執行猶予獲得のための重要な要素となりますので、早い段階からこうした活動に着手することが大切です。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
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