(事例紹介)①クレジットカードの不正利用と電子計算機使用詐欺罪
知人のクレジットカードを不正利用したとして、電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
京都府警警備2課と川端署は27日、電子計算機使用詐欺の疑いで、(中略)男2人=いずれも京都市左京区=を逮捕した。
逮捕容疑は共謀し、(中略)知人のクレジットカードを使って3回、(中略)高速バス乗車券(計4万5880円)を購入した疑い。府警によると、2人は(中略)黙秘しているという
(4月28日 京都新聞 「知人のクレジットカードで高速バス乗車券購入疑い 中核派系全学連の男2人逮捕 京都府警」より引用)
・電子計算機使用詐欺罪
刑法第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。
電子計算機使用詐欺罪は、簡単に説明すると、コンピューターなどに真実に反する情報の入力や正しくない指令を行って、財産や利益を得ると成立します。
・電子計算機使用詐欺罪と詐欺罪
電子計算機使用詐欺罪という罪名から、詐欺罪に関連した罪だということが伺えます。
では、電子計算機使用詐欺罪と詐欺罪では何が違うのでしょうか。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
上記の条文が詐欺罪の根拠条文になります。
詐欺罪は、人に対して欺罔行為を行い財物を交付させた場合に成立します。
電子計算機使用詐欺罪と詐欺罪の違いを簡単に説明すると、電子計算機使用詐欺罪はコンピューターに虚偽の情報などを入力する場合、詐欺罪は人に対して欺罔行為を行う場合に成立します。
・クレジットカードの不正利用と罪の成立
今回の事例では、容疑者らが知人のクレジットカードを使って、高速バス乗車券を購入したとして電子計算機使用詐欺罪の容疑で逮捕されています。
クレジットカードの不正利用で電子計算機使用詐欺罪は成立するのでしょうか。
結論から言うと、クレジットカードを不正利用した場合、電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があります。
例えば、他人のクレジットカードを使ってネットで商品を購入する場合、他人名義のクレジットカードの情報を入力することになります。
そうすると、実際にはクレジットカードの所有者が購入する意思がないにも関わらず、所有者が購入する意思があるような事実に反した情報がコンピューターに送られることになります。
クレジットカードを不正利用した犯人は、この事実に反した情報を与えることで、財産となる商品を入手することになります。
ですので、クレジットカードを不正利用すると、電子計算機使用詐欺罪が成立する場合があるといえます。
では、今回の事例では電子計算機使用詐欺罪は成立するのでしょうか。
今回の事例は、知人のクレジットカードを使用し高速バス乗車券を購入したとされています。
報道からでは、どういった手段でクレジットカードを使用し購入したのかが記載されていないため、電子計算機使用詐欺罪が成立するかどうかはわかりません。
ただ、乗車券を購入する券売機やネットを通じて購入したのであれば、コンピューターにクレジットカード情報を入力する必要がありますので、容疑者らがクレジットカードを不正利用し、そのような方法で購入したのであれば、電子計算機使用詐欺罪が成立する可能性があります。
また、容疑者らが知人のクレジットカードを使用し、自分名義のクレジットカードを使用するかのように装って、乗車券の販売窓口や駅員さんから直接購入したのであれば、人相手に欺罔行為を行っていることになりますので、電子計算機使用詐欺罪ではなく、詐欺罪が成立する可能性があります。
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次回のコラムでは、電子計算機使用詐欺罪での執行猶予付き判決の獲得を目指した弁護活動についてご紹介します。
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