病院(医療機関)における詐欺で逮捕

病院における詐欺行為について、刑事弁護士による弁護活動を行う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例:Aは、病院で診療を受けるにあたり、他人Xの国民健康保険証を使用し、医師による診察を受けた。警察官は、Aを詐欺の疑いで逮捕した。Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~他人になりすまして受診した場合の詐欺罪の成否~

(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

本件では、後者の2項の成否が問題となりますが、上記条文は一見しただけでは一般の方には読みにくいものとなっています。
2項にいう「前項の方法により」とは1項を指すことから、2項の方法=1項の方法という等式が成り立ちます。
したがって、246条2項(いわゆる2項詐欺)に関しては、「人を欺いて財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する」と読み替えることになります。
では、本件Aの行為に、この2項詐欺罪が成立するといえるのでしょうか。

本件ではまず「人を欺」いたといえるかが、問題となります(欺もう行為該当性の問題)。
この点、実務上は(異なる立場もあるものの)、Aが被保険者であるXであると偽って医師による診療を受けたことを、本来被保険者でないにも関わらず被保険者としての立場において診療を受けたとして、病院・医療機関の事務職員や医師を「欺」くものとして欺もう行為性が認められるとされています。
そして、かかる行為によってAを被保険者と誤信させ、医師による診療といういわば無形のサービスを受けたことは、不法な方法によって「財産上……の利益」得たとものといえます。
このように、被保険者になりすまして医師の診療を受けた行為に、2項詐欺罪が成立することは実務上も争いはないものと考えられています。

~詐欺事件における刑事弁護士の弁護活動~

窃盗罪や詐欺罪などいわゆる財産犯(主に刑法第36章以下に規定のある犯罪)は、刑事事件の中でも認知件数・検挙件数もともに多く、いわば最も身近な犯罪ということができます。
財産犯とは、その名のとおり財産に関する法益(法によって保護される利益)を侵害する犯罪をいいます。
そこで、本件のような詐欺罪によって他人の財産を侵害してしまった場合、何よりもまずこの侵害状態を回復することが肝要になります。
その方策として被害弁償等を行うことによって、一旦侵害された法益を(事後的に)回復することが考えられます。
さらに、被害者の方と示談を締結することができれば、起訴・不起訴の判断(刑訴法248条参照)に関しても被疑者側に大きく有利な情状となります。
したがって、弁護士としては、被害者の方との交渉による示談の締結を目指した弁護活動を行うことが重要となります。
なお、仮に示談締結にまで至らなかったとしても、被害弁償それ自体が有利な情状となることから、弁護士としてまずは被害の回復を図ることが重要であることは先に述べたとおりです。
もっとも、本件も含め被害弁償や示談交渉が困難な場合も少なくないことから、事案に即した弁護活動を行う必要があることは論を俟たないところでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件などの財産犯事件を中心に弁護活動を行っている刑事事件専門の法律事務所です。
弊所では、刑事事件に関するご相談のお受付を24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にて承っております。
詐欺事件で逮捕された方のご家族等は、時間帯を気にせずご遠慮なくお電話ください。

 

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