預金通帳を売却して犯収法

犯罪収益移転防止法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

主婦のAさんは、浪費家で、複数の闇金業者から合計数百万円の借金をしており、返済も滞りがちでした。ある日、Aさんは、ある男から非通知で、「銀行通帳と口座の暗証番号を書いた紙を送ってくれないか。」「1口座につき1万円が買い取る。」との電話を受けました。Aさんは他人に自分名義の銀行口座を売るなんて違法だとは分かっていましたが、一時的にでも今の危機的状況から抜け出したいと思っていましたし、何せお金に困っていたことからこれに応じることにしました。Aさんは、まず、V銀行へ行き、窓口で銀行員に対し「生活費の引き落としに必要」などとしてV口座を開設し、同口座に係る預金通帳とキャッシュカードの交付を受けました。そして、その2時間後、Aさんは予め購入していたレターパックに預金通帳とキャッシュカードを入れ、それを男に指定された住所宛に送りました。後日、Aさん名義の銀行口座に1万円が振り込まれていました。ところが、Aさんは、西警察署から詐欺罪と犯罪収益移転防止法違反の疑いで呼び出しを受けてしまいました。
(フィクションです。)

~犯罪収益移転防止法~

Aさんが疑いをかけられている犯罪収益移転防止法は、正式名称、犯罪による収益の移転防止に関する法律といいます。略して「犯収法」とも呼ばれます(以下、犯収法といいます)。

犯収法の目的は、マネーロンダリングとテロ資金供与の防止を図ることにあります。
マネーロンダリングとは、違法な金の出どころを隠すため、犯罪で得たお金を複数の口座に転々とさせたり、あるいは金融商品や不動産、宝石などに形態を変えるなどの行為をいいます。テロ資金供与とは、テロ活動に必要となる資金をテロリストに供与することをいいます。そのために、マネーロンダリングと同様に、架空名義口座を利用したり、正規の取引を装ったりして集めた資金がテロリストの手に渡ることが判らないようにされています。

そのため、犯収法では、銀行等(犯収法では「特定事業者」と呼ばれています)に対し様々な義務を課しています。特に知られているのは、取引時確認(本人確認)(犯収法4条)と疑わしい取引の届出(犯収法8条)ではないでしょうか?
まず、犯収法4条1項では、銀行が預貯金契約等をする際には、犯収法4条1項各号に定める事項(氏名、住居、生年月日、取引を行う目的など)を確認しなければならないとされています。また、犯収法8条1項その他関連する規則では、銀行は、預貯金契約に係る取引について、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるときは、金融庁に(政令で定める事項を)届けなければならないとされています。その後、金融庁に届けられた情報は国家公安委員会→各都道府県警察へという流れで伝わっていきます。

~自分名義の口座を有償で譲り渡した場合の刑事責任~

犯収法28条1項では、預金通帳等の受領側の、2項では、預金通帳等の提供側の行為に関する罰則等を定めています。

犯収法28条1項では預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用カード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間に預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるものとされています
犯収法では預金通帳等の譲り渡し、交付、提供が処罰対象です。
なお、無償でこれらの行為をした場合は、相手方(本件の男)が他人になりすまして銀行との間における預貯金契約のサービスを受けること又は第三者にさせる目的があることの認識が必要ですが、有償でした場合はその認識は不要とされています。

罰則は、無償の場合も、有償の場合も1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、又は併科です。
なお、口座を開設した点については詐欺罪(10年以下の懲役)に問われる可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方はは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

 

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