振り込め詐欺事件での弁護活動
振り込め詐欺事件での弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
今回の事件
Aさんは、大阪府羽曳野市に住む70代のBさんの息子を装って、Bさんに電話し、「職場の仕事で大きなミスをしてしまった。このままだとクビになるから、なんとか300万円を用意してくれないか。」などと嘘を言いました。
Aさんの電話を信じたBさんは、家にやってきた、Aさんの会社の同僚と名乗るCさんに、用意した300万円を渡してしまいました。
家族にこのことを話したBさんは、振り込め詐欺の被害に遭ったことに気づき、大阪府羽曳野警察署に詐欺罪の被害届を出しました。
やがて、Cさんは詐欺罪の容疑で逮捕されました。
Cさんの家族は、刑事事件に詳しいと評判の弁護士に、Cさんの弁護を依頼しにきました。
(フィクションです。)
・振り込め詐欺
振り込め詐欺は、複数人で役割分担をして、被害者に電話をかけ、被害者の配偶者や子供など親族を装ったり、銀行員、ときには警察を名乗って現金の支払いや振り込み、クレジットカードの交付等を要求する犯罪手法です。
振り込め詐欺は特殊詐欺の一種で、振り込め詐欺の中にはオレオレ詐欺、母さん助けて詐欺などと呼ばれるものもあります。
振り込め詐欺はその名の通り、詐欺罪に該当し、刑法246条により、その法定刑は「10年以下の懲役」です。
後述する出し子の場合には、窃盗罪に該当することもあり、その場合は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。(刑法235条)
もっとも、後述するように、振り込め詐欺は厳罰化の傾向にあるので、出し子であっても、罰金で済む可能性はほとんどありません。
振り込め詐欺のほとんどは、高齢者を対象としており、警察が取り締まりを強化しているにも関わらず、増加の一途を辿っています。
振り込め詐欺の処罰は、年々厳しくなっています。
たとえ、犯罪の末端関与者で初犯であったとしても、長期の実刑判決など厳しい判決が下されることが珍しくありません。
これは、被害額が何百万・何千万と高額であることや、振り込め詐欺の撲滅のために司法が厳しい態度を示す必要があることが理由です。
振り込め詐欺で逮捕された場合には、組織的な犯罪を疑われるので、関係者との口裏合わせや、関係者を利用した証拠隠滅を防止するために、勾留や接見禁止が付される可能性が非常に高いです。
接見禁止が付されれば、家族であっても面会や手紙のやり取りができません。
そのため、事件の解決には、弁護士による早期の介入が必要不可欠といえます。
・振り込め詐欺に関連する用語
受け子
Cさんのように、被害者から現金やクレジットカードを受け取る人のことです。
組織の中では下っ端で、逮捕されるリスクも大きいです。
身分証や家族の連絡先を押さえられて、振り込め詐欺から足を洗えなくなる人も多いです。
出し子
被害者から受け取ったクレジットカードで、ATMから現金を引き出す人です。
受け子が、続いて出し子をすることも多いです。
掛け子
Aさんのように、身分を偽り被害者に電話を掛ける役割です。
指示役
受け子や出し子に、詐欺や窃盗を働く具体的な手順を指示する役割です。
組織の中でも地位が高い場合が多く、なかなか検挙されないことも多いです。
リクルーター
友人や知人を勧誘し、受け子や出し子をやらせる役です。
その後の連絡役を務めることも多いです。
・振り込め詐欺における弁護活動
振り込め詐欺の弁護活動においては、執行猶予付判決を得るために、被害者との示談が何より重要となります。
振り込め詐欺事件では、被害額が高額なうえに、被害者が複数名に及ぶことが多々あります。
被害者の処罰感情も強いことが多く、こうした事情から、限られた時間の中で振り込め詐欺の被害者全員との示談が困難であったり、示談金の準備が難しくなったりするケースも多いです。
そのため、振り込め詐欺の示談は、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を進めるべきです。
その他にも、家族の監督など再犯防止の体制を整え、裁判でアピールする等の弁護活動が考えられます。
また、起訴された後身体拘束が続いているようであれば、保釈により社会生活に復帰することもできます。
もっとも、振り込め詐欺事件の組織性・悪質性からすれば、保釈許可を得ることは簡単ではありません。
この場合でも、刑事事件に詳しい弁護士が、説得力のある保釈請求書を裁判所に提出することで、保釈が認められる可能性を高めることができるでしょう。
大阪府羽曳野市で振り込め詐欺に関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。