1.借用詐欺とは
借金(借用)を口実として金品をだまし取る詐欺のことです。
例えば、「外国の方と取引をして大金を儲けたが、日本円にするのに費用がかかるため、お金を貸してほしい。日本円になったら、倍にして返してあげるよ。」などと嘘をつき、その結果、相手を欺いて誤信させ、その誤信を利用して代金や費用などの名目で金銭を交付させる事例を挙げることができます。
2.お金を返さないと詐欺罪になるの?
消費者金融等から借入れをした当初はお金を返すつもりだったが、弁済期がきても手元にお金がなく返済できない場合は、民事上の債務不履行責任(借りたお金と利息・賠償金)を負うこととなりますが、刑事事件として詐欺罪で立件されるとは限りません。あくまで、はじめから返す意思も能力もなく、騙取のつもりで借りる場合に詐欺罪(1項詐欺罪)が成立します。
3.恐喝的な方法を用いて、お金を騙し取る場合
弱みを握った相手が、暗に脅しながら金銭の要求をしてくる事例が考えられます。圧力を掛けられた結果、お金を貸してしまったという事例が少なからず存在します。
このような場合、恐喝罪が成立する可能性があります。
恐喝とは、脅迫または暴行を手段として、その犯行を抑圧するにたりない程度に相手方を畏怖させ、財物の交付を要求することをいいます。なお、お金を要求してくる相手が、弱みを握られた困る相手ではあっても、きっぱりと断ることが必要です。その場の雰囲気にのまれてしまい、任意に貸した形にすると、「畏怖」とはいえず、恐喝罪が成立しない可能性があります。
【恐喝罪(249条)】 1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。 2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。 |
4.色仕掛けを用いての借用詐欺
例えば、色仕掛けに引っかかり、金を貸したりする事件は後をたちません。しかし、詐欺罪が成立するには、
①欺く行為②錯誤③処分行為(物を渡したり、代金を免除したりすること)④財物・財産上の利益の移転
というこの一連の流れを証明できなければなりません。つまり、色仕掛けがあったから詐欺罪が成立するとは必ずしもいえないということです。
5.寸借詐欺
「煙草を買いたいが、1万円札しか持ち合わせないから、両替して」と声を掛け「夕方には返しに来るから1000円貸してと言ってお金を借りて逃げる」事例があげられ、詐欺罪が成立します。
借用詐欺の嫌疑を受ける等でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお問い合わせください。刑事事件を専門に取り扱う弁護士が、直接「無料相談」を行います。被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。