特殊詐欺事件の出し子をしたとして窃盗罪の疑いで逮捕された事例④
特殊詐欺事件の出し子をして逮捕された事例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
福岡市博多区に住むAさんは楽に稼げる仕事を探し、応募しました。
仕事内容はATMからお金を引き出すだけの仕事で、引き出したお金のうち1%を報酬として受け取っていいと言われました。
Aさんは怪しく感じながらも指定された日時に待ち合わせ場所に向かい、キャッシュカードと暗証番号が記載されたメモを受け取りました。
口座には約420万円が預けられており、Aさんは全額引き出しました。
引き出したうちの1%にあたる約4万2千円を自身の報酬に充て、残りを指定されたロッカーに預けました。
翌月、Aさんの家に福岡県博多警察署の警察官が来て、Aさんが特殊詐欺事件に関わったとして窃盗罪の疑いで逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
執行猶予にしてほしい
窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(刑法第235条)です。
ですので窃盗罪で有罪になった場合には、拘禁刑か罰金刑が科されることになります。
初犯であれば罰金刑で済むと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、特殊詐欺事件では被害額が高額になるケースが多く、初犯であっても実刑判決が下されることがあります。
今回の事例でも被害額が約420万円と高額であり、Aさんに実刑判決が下される可能性があるといえます。
執行猶予は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときに、情状により付されることがあります。(刑法第25条1項)
執行猶予を得ることができれば、刑の執行が猶予され刑務所に行かずに済む可能性があります。
ただ、執行猶予を得るための条件として、科される刑罰が3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の言渡しを受けなければなりません。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金ですから、執行猶予を得ることは容易であるとはいえません。
執行猶予を得るためには、被告人に不利にはたらく証拠を作成しないことが重要になってきます。
例えば、取調べの際に作成される供述調書は重要な証拠となり、裁判でも証拠として扱われます。
もしも被告人にとって不利にはたらくような供述調書が作成された場合には、被告人が裁判で窮地に立たされることになる可能性があります。
そういった事態を防ぐためにも、取調べを受ける際は弁護士と事前に打ち合わせを行い、捜査官の誘導に乗ることなく被告人の意に反した供述調書の作成を防ぐことが重要になってきます。
また、被告人にとって有利な事情となる証拠を集めることや、法廷で裁判官にアピールをすることも重要になってきます。
刑事事件の経験豊富な弁護士に相談をすることで執行猶予を得られる可能性がありますので、特殊詐欺事件で捜査を受けた場合には経験豊富な弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとした刑事事件に精通した法律事務所です。
執行猶予を目指している方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。