結婚する気があるように装い交際相手から2千万円を騙し取った結婚詐欺事件②
結婚詐欺の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんはマッチングアプリで知り合ったVさんに対して好意を抱いているかのように思わせ、AさんとVさんは結婚を前提としたお付き合いを始めました。
交際から3か月経ったある日、AさんはVさんに「Vさんのことは愛しているし生涯を共にする相手はVさんしか考えられないが、僕には友人に騙されて借金が2千万円ある。このまま結婚してしまうとVさんに迷惑をかけてしまうから別れてほしい。」と告げました。
Aさんの話を信じたVさんは、Aさんに2千万円を渡したところ、Aさんと連絡が取れなくなってしまいました。
実はAさんには借金などなく、Vさんからお金を騙し取る目的でVさんと交際をしていたのです。
VさんはAさんに騙されていたことに気づき、愛知県中村警察署に被害を相談しました。
(事例はフィクションです。)
逮捕
今回の事例では、VさんがAさんに騙されたことに気づき、愛知県中村警察署に被害を相談しています。
事件が警察署の知るところになったわけですから、これから警察官の手によって事件の捜査が行われていくことでしょう。
今回の事例の被害額は2千万円と高額ですから、ある程度捜査が進み犯人がAさんであると発覚した場合には、Aさんは逮捕されてしまう可能性が高いと考えられます。
刑事訴訟法第199条
1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。(省略)
2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(省略)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
刑事訴訟法第199条1項、2項では、逮捕について規定しています。
逮捕は被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、逮捕の必要性がある場合になされます。
刑事訴訟規則第143条の3
逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。
逮捕の必要性がある場合とは、刑事訴訟規則第143条の3の規定から考えると、逃亡のおそれがある場合、罪証を隠滅するおそれがある場合だと考えられます。
前回のコラムに解説したように、Aさんには詐欺罪が成立する可能性があります。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役(刑法第246条1項)ですので、有罪になると刑務所に収容される可能性があります。
今回の事例では被害額が2千万円と高額ですから、悪質性が高いと判断され執行猶予を得られずに実刑判決が下される可能性が考えられます。
実刑判決が見込まれる事件では、逃亡や証拠隠滅をするおそれがあると判断される可能性がありますので、事例のAさんは逮捕されてしまう可能性が高いといえるでしょう。
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結婚詐欺で捜査を受けている方、ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。