【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(飲食店で代金を支払う意思も能力も無いのに注文して飲食したケース)

【事例解説】詐欺罪とその弁護活動(飲食店で代金を支払う意思も能力も無いのに注文して飲食したケース)

食事

今回は、飲食店で代金を支払う意思も能力も無いのに注文して飲食したという架空の事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

事例:飲食店で代金を支払う意思も能力も無いのに注文して飲食したケース

福岡県警は、福岡市内の飲食店Vで無銭飲食をしたとして、福岡市内に住むAさんを詐欺罪の疑いで逮捕しました。
警察によりますと、Aさんは、福岡市内の飲食店を訪れ、代金を支払う意思も能力もないのにビールや料理などを注文し、代金1万5000円相当を飲食した疑いが持たれています。
Aさんは1人で飲食店Vを訪れ飲食した後、会計する際に従業員に「お金がありません」と言ったため、Vの従業員が警察に通報し、駆け付けた警察官にその場で逮捕されました。
警察の調べに対して、Aさんは「お金を持たずに飲み食いしたことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているとのことです。
(事例はフィクションです。)

詐欺罪(刑法246条1項)について

〈詐欺罪〉(刑法246条)
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立します。
「人を欺」く行為(欺罔行為)とは、欺罔行為の相手方を錯誤に陥らせる行為、すなわち相手方が財物を交付しようと判断する際の、その判断の重要な事項を偽ることを言います。
そして、詐欺罪は、欺罔行為→相手方の錯誤→錯誤に基づく交付行為→財物の移転がそれぞれ原因と結果の関係になければなりません。
欺罔行為を行ったが、その相手方が錯誤に陥らず別の理由(例えば、欺罔行為者にお金がないことを知っていて憐みからお金を渡したなど)で交付行為を行った場合は、詐欺罪は既遂とはならず未遂にとどまることになります。
加えて、詐欺罪は他人の財産を侵害する犯罪であるため、条文上の記載はありませんが成立には財産的損害の発生が必要とされています。
財産的損害が発生したか否かは経済的に評価して損害が発生したかどうかを実質的に見て判断されることになります。

上記の事例では、Aさんは飲食店Vを訪れていますが、代金を払う意思も能力もありません。
そのことを飲食店Vが分かっていたなら、Aさんから注文を受けても提供することはなかったと言えます。
そのため、Aさんによる代金支払いの意思や能力がないことを隠して注文することは、飲食店Vの交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ることといえ、「人を欺」く行為に当たります。
そして、飲食店Vにとって、商品であるビールや料理などは「財物」であり、それらをAさんに提供することで「交付させた」といえます。
また、飲食店Vには飲食代金1万5000円相当の財産的損害も発生しています。
以上より、上記事例におけるAさんの行為には詐欺罪(刑法246条1項)が成立することが考えられます。

示談交渉の重要性

詐欺罪は被害者が存在する犯罪であるため、被害者と示談交渉を試みることができます。
もし被害者との間で示談が成立すれば、検察官の処分(例えば、起訴猶予による不起訴処分)や身柄拘束の回避・解放などに影響を持つことになります。
そのため、被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
もっとも、示談交渉は事件の当事者同士でも行うことはできますが、被害者側は加害者に対して憤りから強い処罰感情を有しているなど、様々な事情により交渉が拗れてしまうことも考えられます。
しかし、弁護士であれば、加害者側が反省・謝罪の意思を有していることや、被害弁償の準備があることなどを冷静かつ丁寧に説明し、交渉をスムーズに進められることも珍しくありません。

また、示談と言っても、事件を当事者間で解決することを約束し将来の民事訴訟を予防する単なる示談や、宥恕(加害者を許し、刑事処罰を望まないことの意)付示談や被害届の取下げ刑事告訴の取消しを内容とする示談など、内容は多岐にわたります。
どのような内容で示談を成立させることが最善であるかの判断には、刑事事件に専門的な知識や経験が要求されること、また、上述の通り、被害者側が強い処罰感情を有していることなどから、当事者同士での示談交渉はあまり得策とは言えません。
以上より、示談交渉は、刑事事件に関する専門的な知識や経験を持ち、交渉に強い弁護士に相談されることをオススメします。

まずは弁護士に相談を

詐欺罪の当事者となりお困りの方、あるいはご家族等が詐欺罪の当事者となり身柄拘束を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件・少年事件に関する知識・経験が豊富な弁護士が在籍しております。
詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回無料でご利用いただける法律相談を、ご家族等が詐欺罪の当事者となりお困りの方に対しては、初回接見サービス(有料)を、それぞれご提供しております。
まずはフリーダイヤル「0120-631-881」までお気軽にお問合せください。

 

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