【事例解説】銀行口座譲渡により成立する犯罪とその弁護活動(開設した銀行口座を他人に売買した架空の事例に基づく解説)

 この記事では、闇金業者に対して、返済に代えて銀行口座を譲渡した架空の事例を基に、詐欺罪や「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下「犯収法」)の成立とその弁護活動について、解説します。

事例紹介: Aさんのケース

 北九州市に住むAさんは、経済的困窮から闇金に手を出しました。借り入れた30万円は高利で、返済が困難になりました。
 その後、闇金業者はAさんに「銀行口座を開設し、譲渡すれば借金をチャラにする」と提案しました。Aさんはこの提案に従い、V銀行で口座を開設し、闇金業者に通帳とキャッシュカードを郵送しました。
 その後、警察からAさんに、口座の譲渡の件で取調べへの出頭要請があり、Aさんは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

犯罪成立の要件

 Aさんのケースでは、詐欺罪(刑法第246条)の成立が考えられます。詐欺罪は、人を欺いて物を取得する行為を指します。
 Aさんは、自分が口座を使用しない意図を隠し、銀行口座を開設しました。銀行は通常、口座の譲渡を禁止しており、真実を告げていれば口座開設は拒否されたはずです。この行為は、銀行を欺いて口座を取得したと解釈され、詐欺罪の成立要件を満たす可能性があります。
 また、Aさんが後に口座を譲渡した場合、犯収法違反も成立する可能性があります。

取調べと罪名の選択

 Aさんが警察の取調べを受ける際、口座開設の初期の意図が重要なポイントになります。
 もし口座を第三者に譲渡する意図で開設した場合、詐欺罪が成立する可能性が高くなります。
 一方で、元々は自己使用を目的としていたが、後に譲渡を決断した場合は、犯収法違反の可能性が考慮されます。
 これらの罪名の選択は、最終的な法的処分に大きく影響を及ぼします。
 詐欺罪には罰金刑がないのに対し、犯収法違反には罰金刑が設定されており、略式手続の選択肢が生じることもあります。したがって、取調べにおいては、開設当時の意図や状況を明確に伝えることが、法的結果に大きな影響を与えることになります。

略式手続の可能性

 罰金刑が適用される犯収法違反の場合、略式手続が選択される可能性があります。略式手続は、通常の裁判とは異なり、より簡易な法的手続きを指します。この手続きでは、書類のみが裁判官に提出され、裁判所から略式命令が郵送されます。その後、罰金が検察庁に納付されることで手続きが完了します。
 略式手続は、罰金刑の前科が付くものの、時間とコストを節約できる利点があります。
 しかし、この手続きが適用されるか否かは、口座開設時の意図や状況に大きく依存します。したがって、弁護士との相談を通じて、最適な法的対応を模索することが重要です。

弁護活動の重要性

 口座譲渡に関わる弁護活動は、被告人の動機や背景を明確にすることが重要です。例えば、Aさんのように闇金に手を出し、経済的苦境に陥ったケースでは、その動機が法的評価に影響を与えます。
 弁護士は、被告人がどのような状況下で口座譲渡に至ったのか、その心理的、経済的背景を検察官や裁判官に伝える役割を担います。この情報は、起訴の是非や刑罰の軽減を判断する際に重要な要素となります。
 また、被告人自身が法的責任をどの程度理解しているか、反省しているかも、刑事処分に影響を及ぼす可能性があります。したがって、弁護士による適切な弁護活動は、被告人にとって最も有利な結果を導くために不可欠です。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強く、様々な詐欺事件において、不起訴処分や刑の減軽を獲得している実績があります。
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