【事例解説】詐欺罪で有罪になることによる資格・地位への影響

 不動産会社の役員が保険金詐欺の容疑で警察の取調べを受けた架空の事件を参考に、詐欺罪で有罪になることによる地位・資格への影響について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

参考事件

 仙台市内の不動産会社で取締役を務める宅地建物取引士の資格を有する男性Aは、自動車事故を装った保険金詐欺の容疑で警察の取調べを受けることとなりました。
 Aは、詐欺の容疑を認めており、宅地建物取引士の資格や取締役の地位にどのような影響が見込まれるかについて、刑事事件に強い弁護士に相談することとしました。
(事例はフィクションです。)

宅地建物取引士の欠格事由

 宅地建物取引業法第18条において、禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、宅地建物取引士の登録を受けることができないとされています(「欠格事由」と呼ばれます。)。

 詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役のみであり、罰金刑の定めがありません。そのため、詐欺罪で有罪となり刑に処せられることになった場合、欠格事由に該当し、宅地建物取引士の登録を取り消されることとなります。
 なお、執行猶予付判決により、刑務所に収監されない場合であっても、「刑に処せられ」に当たるため、登録を取り消されることとなります。

 また、懲役や禁固の場合における「刑の執行を終わり」とは、満期出所のことをいい、「刑の執行を受けることがなくなった」とは、仮釈放後に刑の残余期間を経過した場合などを指します。
 そのため、満期出所日や仮釈放の場合の本来の満期出所日から5年を経過するまでは、登録を受けることができません。

 なお、執行猶予付判決の場合、猶予期間が経過すれば、刑の言渡しは効力を失う、とされます(刑法第27条)。
 そのため、猶予期間が経過すれば、「禁錮以上の刑に処せられ」に該当しないこととなり、猶予期間経過後はすぐに登録を受けることができると考えられます。

会社の取締役の欠格事由

 会社法第331条第1項4号において、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者は、取締役となることができないとされています。

 そのため、詐欺罪で有罪となり刑に処せられることになった場合、欠格事由に該当し、取締役を退任することとなりますが、取締役の欠格事由においては、刑の執行猶予中の者は除かれるため、執行猶予付判決の場合は、取締役の地位にとどまることが可能と考えられます。

詐欺罪で罪を認める場合の刑事弁護

 詐欺罪の法定刑は、窃盗罪と異なり罰金刑の定めがないため、詐欺罪で起訴され有罪となった場合、懲役刑に処せられることにより、宅地建物取引士をはじめとする多くの国家資格の欠格事由に該当する結果、重大な不利益を被ることとなります。

 そのため、詐欺罪で罪を認める場合は、不起訴処分の獲得を目指して、被害者への被害弁償や示談交渉を速やかに行うとともに、詐欺の目的、回数、態様、悪質性、再犯防止の可能性、社会的制裁の有無などから、不起訴処分が妥当であると主張し、検察官と交渉することが考えられます。

 本件のように、被害者が会社などの場合は、会社の方針等により示談交渉を拒まれる場合が相当数あり、被害者が個人の場合に比べて、示談交渉が難航するおそれもあることから、刑事事件に強く、示談交渉の経験豊富な弁護士への相談をお勧めします。

まずは弁護士にご相談を

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強く、詐欺罪などの財産犯の刑事事件において、示談成立などによる不起訴処分を獲得している実績が多数あります。
 詐欺事件で自身やご家族が警察の取調べを受けるなどして、資格への影響を含めてご不安をお抱えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へご相談ください。

 

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