破産申請前に財産を隠した詐欺破産事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例紹介
Aさんは、自身が経営する会社の業績が思うように伸びず、資金繰りが苦しくなってきたので、個人で破産を申請することにしました。
Aさんは、破産が完了後に少しでも手元にお金を残しておきたいと考え、破産手続の開始を申請する前に、自宅金庫に保管していた現金1000万円をボストンバッグに入れて持ち出して、 友人のBさんに預かってもらっていました。
Aさん、そのまま1000万円を隠して保管したまま、弁護士に依頼して裁判所に破産手続開始の申立てをし、破産手続開始決定を受けました。
(この事例はフィクションです)
詐欺破産罪について
債務超過に陥った個人(債務者)が破産をするという場合に適用される破産法という法律では、「詐欺破産罪」と呼ばれる犯罪が規定されています。
具体的には、詐欺破産罪は破産法265条1項において、
「破産手続開始の前後を問わず、債権者を害する目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、債務者…(中略)…について破産手続開始の決定が確定したときは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。情を知って、第四号に掲げる行為の相手方となった者も、破産手続開始の決定が確定したときは、同様とする。」
と規定し、「次の各号」として以下の4つを規定しています。
①債務者の財産…(中略)…を隠匿し、又は損壊する行為(同項d1号)
②債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為(同項2号)
③債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為(同項3号)
④債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為(同項4号)
事例のAさんのように、本来債権者に返済するために充てなければならない現金1000万円を金庫から持ち出して、破産後に自分で使用するために友人に預かってらもうという行為は、債権者を害する目的で債務者の財産を隠匿したとして破産法265条1項1号によって詐欺破産罪に当たる可能性が高い行為と考えられます。
詐欺破産罪の法定刑は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金か、又はこの懲役刑と罰金刑の併科となっています。
なお、破産法以外にも個人が民事再生を申請したときに適用される民事再生法では255条において「詐欺再生罪」が、株式会社が更生手続を申請したときに会社更生法では266条において「詐欺更生罪」といった形で詐欺破産罪と同様の犯罪を規定しています。
詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は
詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられている方は、いち早く弁護士に相談して、事件の見通しや今後の対応といったことについてアドバイスをもらうことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
詐欺破産罪の疑いで警察の捜査を受けられてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。