【事例解説】偽造したクーポン券を使用した詐欺事件

 偽造したクーポン券を利用した詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例紹介

 Aさんの近所にあるレストランでは5000円以上の注文をした際に、次の来店時に500円のデザートが無料で注文することができるクーポン券を配布していました。
 Aさんは、このクーポン券をカラーコピー機で複製して、偽造したクーポン券を利用して500円のデザートの提供を無料で受けました。
 これに味を占めたAさんが、後日、再び偽造したクーポン券を利用しようと、クーポン券を店長のVさんに渡したところ、Vさんは、クーポン券が偽物だということに気が付きました。
 Vさんが警察に通報したところ、Aさんは警察に逮捕されました。
(この事例はフィクションです)

有価証券偽造罪・偽造有価証券行使罪とは

 クーポン券のように有価証券行使する目的で偽造すると刑法162条1項の有価証券偽造罪が成立します。
 「偽造」とはクーポン券を発行する権限がない者が、発行する権限がある者の名義を冒用してクーポン券を作成することを言います。
 事例のAさんのように、クーポン券を発行しているレストランに無断で、クーポン券をカラーコピーしてクーポン券を複製した場合には「偽造」に当たることになると考えられます。
 有価証券偽造罪の法定刑は3か月以上10年以下の懲役刑となっています。

 また、Aさんのように実際に偽造したクーポン券を使用してしまうと、刑法162条2項が規定する偽造有価証券行使罪も成立することになります。
 偽造有価証券行使罪の法定刑も、有価証券偽造罪の法定刑と同じで3か月以上10年以下の懲役刑となっています。

偽造したクーポン権を利用して無料でサービスを受けると?

 事例では、Aさんは自身で偽造したクーポン券を利用して500円のデザートの提供を無料で受けています。
 このように偽造したクーポン券を利用することで相手を騙して、本来支払う必要のある料金の支払いを免れた場合には、刑法246条2項の詐欺罪も成立することになると考えられます。
 詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役刑です。

 そうすると、事例のAさんには、有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの犯罪を犯していることになりますが、この3つの犯罪の関係は、有価証券偽造罪を手段に偽造有価証券行使罪を犯しており、偽造有価証券行使罪を手段に詐欺罪を犯しているというように、順番に手段・結果の関係にあるといえます。
 そのため、有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの罪は刑法54条1項後段が規定する「牽連犯」に該当して、刑を科す際にはひとつの罪として扱われることになりますので、該当する犯罪の中で、最も重い罪の法定刑が科されることになります。
 Aさんのように有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの罪が成立する場合には、3か月以上10年以下の懲役刑が科されることになると考えられます。

有価証券偽造罪・同行使罪、詐欺罪の疑いで警察に逮捕されてお困りの方は

 ご家族が有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の疑いで警察に逮捕された場合は、いち早く弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
 事例のように複製したクーポン券を利用して数百円の支払いを免れたという詐欺事件で逮捕された場合、現金数千万円を騙し取ったという詐欺事件でもなく高々数百円の支払いをちょろまかしただけなのだから、大したことにはならないと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、先ほども説明したように有価証券偽造罪、偽造有価証券行使罪、詐欺罪の3つの罪が成立する場合には、3か月以上10年以下の懲役刑が科される可能性があり、法定刑に罰金刑がありませんので、仮に検察官によって起訴された場合には、公開の法廷で刑事裁判を受けることになります。
 そのため、事態を軽く見ることなく、逮捕されたご本人様のためにいち早く弁護士によるサポートを受けられることをお勧めします。

 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件をはじめとする刑事事件・少年事件に強い法律事務所です。
 ご家族が偽造したクーポン券を利用したことで警察に逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで一度ご相談ください。

 

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