コンビニで釣銭を多くもらい詐欺罪で逮捕
コンビニで釣銭を多くもらい詐欺罪で逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
京都府田辺警察署は今年4月12日、釣銭を多くもらった無職の女(56)を詐欺罪の容疑で逮捕しました。
同署によりますと、今年4月12日、京都府京田辺市内のコンビニで買物をした女が会計の際、5千円を渡したところ、店員が1万円と勘違いし、お釣りを多く渡してしまったとのことです。
店員はすぐに間違いに気づき、女に確認と返金を求めましたが、応じませんでした。
店員はすぐに警察へ連絡をし、駆けつけた警察官によって女はその場で逮捕されたとのことです。
その後の調べで女は「気が付いていたが、あえて言わなかった。」と供述しているとのことです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
釣銭を多くもらうとどんな罪になる?
1.その場で気が付いていた場合は詐欺罪が成立します
詐欺罪は「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する」(刑法第246条)と規定されています。
つまり他人を勘違いさせて他人の財物を処分させ、自分または第三者が取得することをいいます。
その方法は言動を使って積極的に勘違いをさせる方法もありますが、不作為(本来すべき行動を怠ったり、積極的に行動しないこと)も該当します。
釣銭を多くもらいその場で気が付いているのであれば、店員に伝えるべきですが、その行為を怠った事は不作為によって他人を欺き、他人の財産を取得したことになってしまいます。
2.お店をでた後に気が付いたら遺失物等横領罪になります
遺失物等横領罪は「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」(刑法第254条)と規定されています。
所有者の意思によらないで占有を離れ、誰の所有にもなっていない物を横領することをいいます。
今回の事例では店内でお釣りを多くもらったことに気付かず、その場を離れてしまった場合は、他人を欺いた行為にはなりませんので、詐欺罪は成立しません。
しかし、その場を離れた後に釣銭に気がついた場合は、他人の財物がその占有から離れその物を横領したことになりますので、遺失物等横領罪が成立することになります。
今回の事例では店内で釣銭のやり取りをしている際に、釣銭を多くもらっていることに気が付いているにも関わらず、返金しようとしませんでした。
そのため詐欺罪が成立することになるでしょう。
詐欺罪で逮捕・勾留されてしまったら
逮捕・勾留されてしまった場合、警察で48時間以内に検察に送検するか決定されることになります。
また送検された後、引続き身柄拘束が必要となれば24時間以内に検察から裁判所へ勾留請求がされます。
裁判所はそれを受けて被疑者に勾留質問をし、証拠隠滅のおそれ・逃亡のおそれがありと判断された場合は、そこから最大10日間(事案によってはさらに10日間延長される場合があります)勾留されることになります。
逮捕・勾留された場合は弁護士による弁護活動がとても重要になります。
・裁判所へ勾留取消の意見書を提出し身柄解放の働きかけ
・勾留決定の際、接見禁止がついた場合、ご家族などの接見一部解除の働きかけ
・被害者へ示談交渉・締結の働きかけ
示談交渉・締結をすることは、検察にとって不起訴などを考慮する判断材料にもなりますので、とても重要な弁護活動になります。
日本には国選弁護人という制度もありますが、逮捕されていない場合には検察官による起訴後ではないと裁判所は弁護人を選任してくれません。
そのため起訴前の示談交渉などの弁護活動は私選しかできず、これらの活動が不起訴の獲得や量刑に大きな影響をもたらすことになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
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またご家族が逮捕されている場合は、速やかに弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。
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